五味司法書士事務所
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離婚
離婚
日本ではほとんど協議(話し合い)による離婚が利用されております。離婚するには、夫婦の気持ちの問題だけではなく、未成年の子を養育するために必要な事柄を考えなければなりません。
離婚事件
離婚には,協議離婚,調停離婚,審判離婚,裁判離婚の4種類があり,件数としては,圧倒的に協議離婚が多く,一般的には裁判所が関与することなく当事者の話し合いで離婚が成立するのが普通といえるでしょう。ただし,離婚問題を抱えている当事者は,婚姻生活からくるストレス等で心身ともに疲弊している場合が多く,感情的及び経済的対立も相まって,冷静な判断ができないことが多く,離婚を急ぐ余り,今後の生活見通しを立てずに,養育費や財産分与を放棄してしまったり,逆に到底払えない養育費や慰謝料の合意をしてしまうことも多々あります。このようなことが起こらないよう,子の親権の問題,養育費,財産分与,慰謝料の金額等,一度法律家である司法書士や弁護士に相談してみるのがよいでしょう。


離婚に関する手続きとしては,まずは協議離婚を試みるものですが,協議ができない又は相手方が離婚に応じない等の場合は,相手方の住所地の管轄家庭裁判所又は当事者が合意した合意した家庭裁判所に調停を申し立てることになります。いきなり訴訟をもとめても,原則職権で調停に付されます。調停は,家事審判官1名と調停委員2名からなる調停機関によって進められます。調停では,お互いの話し合いによって,問題解決を図ることになりますので,当事者が期日に出頭するのが原則となり,もし正当事由がなく調停に出頭しない場合は5万円以下の過料となりますが,実際に過料を命じられることは少ないようです。


調停では,離婚を前提に話を進めるのではなく,夫婦の円満和合を目指すのですが,もはや回復の見込みがなく,お互い離婚に合意している時などは離婚になります。ただし,相手方が離婚に合意しない場合や調停に出頭しない場合等は調停不成立として,手続きは終了してしまいます。調停が成立しない場合には家事審判法24条による審判離婚がされることもありますが,件数としては大変すくないです。調停が成立せず,審判離婚もできなかった場合は,離婚訴訟をすることになります。離婚訴訟では,離婚を求める側から民法770条に定める離婚事由を主張立証しなければならず,費用や時間を考えると,できる限り調停で解決するのが望ましいでしょう。


婚姻費用について
 民法760条では「夫婦は,その資産,収入その他の一切の事情を考慮して,婚姻から生ずる一切の費用を負担する。」と定めています。一般的に婚姻費用の分担と言われており,夫婦が円満な間は問題となることはまずありえませんが,夫婦間に確執が生じ,別居した時など問題となります。婚姻が完全に破綻し形骸化している場合でも,法律上婚姻が継続している限り婚姻費用分担の義務がなくなることはありません。現在別居中で生活費に不安がある場合等は離婚調停と同時に又はその前後に別居又は婚姻関係が解消するまでの婚姻費用分担請求をすべきでしょう。(もちろん不安がなくても請求は可能です。)なお,「家庭裁判所は,審判時から過去に遡って婚姻費用分担の審判をすることができる(最大昭和40・6・30民集19巻4号1114頁)」との最高裁判例があり,婚姻費用分担請求の際に別居時からの婚姻費用の請求をすることが多いのですが,実務上は権利者から義務者へ請求した時点を婚姻費用の分担の始期とする請求時説が大勢であり,必ずしも別居時からの分が認められるわけではありません。(過去に遡って審判できると言うのみで,別居時からの分を認めるとは言ってません。)ただし,「裁判所は当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の額及び方法を定めることができる。(最判昭和53・11・14民集32巻8号1529頁)」との判例がありますので,過当に負担した婚姻費用を離婚時の財産分与で清算することは可能です。


養育費について
 養育費は,子の監護に関する費用として(婚姻中は当然婚姻費用の中に含まれます。)父母は親権の有無にかかわらず,未成熟子に対して生活保持義務を負い同居や別居の区別無く自己と同程度の生活を子に与える義務があります。また,養育費と扶養料を混同される方もいらっしゃいますが,両者は全く別の性質の権利であり,養育費は子の監護の費用として,母又は父(子の監護者として指定されている第三者)が請求権者となり,扶養料は被扶養者である未成熟子固有の権利となります。従って養育費の支払を求める場合の申立人は母又は父(第三者が子の監護者と指定されている場合は第三者)となり,扶養料の請求は未成熟子自身が申立人(実際は法定代理人が手続きをする)となります。なお婚姻費用及び養育費の算定は非常に複雑となりますが,「東京・大阪養育費等研究会」が発表した「簡易迅速な養育費等の算定を目指してー養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案ー」判例タイムズ1111号(2003年4月1日号285頁以下)が一つの目安となります。


履行の確保
 家事調停や家事審判で定められた債務ないし義務を家事債務と言い,その中で養育費等扶養義務にかかわる金銭債務については,その不履行が多く,権利者が泣き寝入りしてしまうことがしばし見られます。一般的には調停書,審判書,判決書の正本又は執行認諾約款付公正証書に基づいて,義務者の財産を差押えることにより権利の実現を図ることになります。ただし,家事債務については強制執行を利用しないで実現するのが望ましい場合もありますので,一般の強制執行とは別に家庭裁判所による,履行確保の制度があります。

まず第一が履行の勧告です。これが一番簡単です。特別の方式はなく,調停,審判,裁判をした家庭裁判所に電話をするだけでも結構です。申し出が受理されると,家庭裁判所が義務の履行状況を調査し,義務者に対して,その義務の履行を勧告することになります。ただし,勧告は義務の履行を促すだけであり,何ら法的効果があるわけではありません。

もう一つが履行命令です。これは,調停,審判,裁判で定められた金銭の支払いその他の財産上の給付を目的とする義務の履行を怠った者がある場合において,義務者に対し,相当の期限を定めてその義務の履行をなすべきことを命じ,義務の履行を命じられた者が正当な理由無くその命令に従わないときは,家庭裁判所が決定で10万円以下の過料に処するというものです。この履行命令及び過料の制裁は,金銭の支払等の給付義務を履行しない者に対して,過料の制裁という心理的圧力を加えて義務を履行させるものです。最後に金銭の寄託という制度がありますが,これはあまり使われていなようです。もちろんこれらの手続きを利用せず,通常の強制執行をすることも可能です。養育費費等の債権は民事執行法の改正により,給料債権等に対して二分の一まで差押えが可能となりました。もし,裁判所を利用しない協議離婚をする際に,相手の履行に不安がある場合は執行認諾約款付公正証書で,協議書を作るのがよいでしょう。万一,不履行があった場合には,この公正証書に基づいて強制執行が可能となります。


財産分与について
民法768条1項は「協議上の離婚をした者の一方は,相手方に対して財産分与の請求をすることができる」と規定されており,財産分与請求は有責配偶者からの請求も可能です。その法的性質としては,「清算的要素」 「扶養的要素」 「慰謝料的要素」の3要素からなると言われており,協議が整わない場合は,裁判所が一切の事情を考慮して分与の額及び方法を定めることになります。実際の分与にあたり,婚姻中に形成・維持された財産は,その名義のいかんを問わず,その形成・維持には非名義人の直接・間接の寄与・協力があるのが通常であることから,できる限り二分の一で分与するのが望ましいでしょう。なお,負債に関してですが,平成11年9月3日(東京地裁)では「債務についても夫婦共同生活の中で生じたものについては財産分与にあたり,債務発生に対する寄与の程度,受けた利益の程度に応じてこれを負担させることができるというべきであり,その負担割合については財産形成に対する寄与の場合と同様,特段の事情のない限り平等と解すべきである」と判示しており,基本的に債務も分担されるものとなります。


慰謝料について 
離婚慰謝料は,離婚原因である有責行為に対する精神的苦痛に対する慰謝料(離婚原因慰謝料という。)と離婚自体による配偶者たる地位の喪失という精神的苦痛に対する慰謝料(離婚自体慰謝料という。)があり,この両者を一体として求める損害賠償請求権になります。慰謝料請求権の根拠は民法709条及び同法710条となりますので,相手方の故意,過失による加害行為によって損害が発生し,加害行為と損害の発生及び損害額に因果関係が必要となり,請求者が主張・立証することになります。よく有名人の離婚で高額の慰謝料が話題となることがありますが,実際には,婚姻期間や有責性の程度,相手の資力等一切の事情を考慮して決めるものであり,相場としては100万円〜300万円程度が多いです。なお,財産分与があった場合に慰謝料を別途請求できるかどうかという問題に対しての昭和46年7月23日最高裁判決を要約すると「財産分与によって,請求者の苦痛が全て慰謝されたと認められる時は,重ねて慰謝料請求は許されないが,財産分与に損害賠償の要素を含めたとは解されないとき,または含めたとしても請求者の苦痛の慰謝に足りないと認められるときは,別途に不法行為による慰謝料の請求を妨げない」と述べております。慰謝料請求権と財産分与請求は,本来別個の請求権になりますので,財産分与後でも,事案によって慰謝料請求することは可能となります。


不倫相手の慰謝料請求 
配偶者の一方が不貞行為を働いた場合,その配偶者と不貞の相手方双方に対して慰謝料請求をしたり,または,不貞行為の相手方のみに慰謝料請求をする場合があります。この問題に対して配偶者の不法行為責任を認めることには問題ありませんが,不貞の相手方の不法行為が成立するか,学説上争われてきました。これに対し最高裁は「夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は,故意または過失がある限り,右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたどうか,両者の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず,他方の配偶者の夫又は妻としての権利を侵害し,その行為は違法性を帯び,右配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務があるというべきである。(最判昭和54・3・3民集33巻2号303頁)」と判示し,第三者への慰謝料請求を認容しました。次に責任が否定される場合として「Aの配偶者Bと第三者Cが肉体関係をもった場合において,AとBとの婚姻関係がその当時既に破綻していたときは,特段の事情のない限り,Cは,Aに対して不法行為責任を負わないものとするのが相当である。(最判平成8・3・26民集50巻4号993頁)」と判示しました。つまり夫婦関係が既に破綻していれば,破綻後の不倫は不法行為を構成せず,破綻前であれば不法行為を構成することになります。この問題は個人や社会の価値観などに密接にかかわるものですので,不法行為の成立を一切認めない学説もありますが,一方配偶者の心情としては,やはり不貞の相手方は許せないものであり,現時点でのこの問題に対する最高裁判決は妥当と思います。なお,不貞の相手方に対する慰謝料認容額は概ね低額のようです。


年金分割
 平成16年の年金法改正により,厚生年金・共済年金の分割制度が新設されました。制度の概要を述べますと,平成19年4月1日以降の離婚について,婚姻期間に対応する厚生年金及び共済年金(保険料納付記録)の最大2分の1までを配偶者(通常は妻)に分割することができます。平成19年4月1日以前の保険料納付記録も分割対象となります。配偶者との話合いで年金の分割割合を取り決めた場合には,公正証書を作成して,社会保険事務所に所定の届出をします。話合いがつかない場合は,家庭裁判所に調停若しくは審判での分割を求めます。また,平成20年4月1日からは,第3号被保険者に限り,平成20年4月1日以降離婚時までの期間に対応する厚生年金・共済年金は,配偶者との合意や裁判がなくても半分が分割されることになります。
なお,現在社会保険事務所にて所定の手続きをすれば,分割後の受領見込み額を教えてくれます。
 
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